気管支喘息・アレルギー性鼻炎
気管支喘息・アレルギー性鼻炎
空気の通り道である気管がただれて過敏になり、発作的にゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難、夜間の咳などが起こります。明け方や天候の変化、風邪をひいたときなどに出やすくなります。
小児では、1歳前後から繰り返す咳やゼーゼーする呼吸、不機嫌、抱っこしないと眠れないなどの症状から始まります。小学生で7~10%、中学生で5~10%の罹患率と考えられています。
適切な治療を行うことで、症状の大きな改善が期待できますので、疑わしい症状がある場合は、お早めの受診をおすすめします。
気管支喘息のガイドラインに基づいて重症度を判定し、適切な治療ステップを行います。治療の柱は、薬物療法、環境整備(悪化因子への対策)、体力づくりで、お子さんに合わせて実施します。
薬物療法は発作を抑える治療と、発作を予防する治療に分けられます。喘息発作が起きている時は、気管支拡張薬などを用いて症状を緩和します。
しかし気管支喘息は、気管が炎症によってただれて過敏になっている状態であるため、治療はこれだけでは不十分です。無症状であっても普段から喘息予防のために長期管理薬(抗ロイコトリエン受容体拮抗薬・吸入ステロイド)が必要です。
成人したのちに喘息がよくなるかどうかは、学童期までの喘息コントロール状態に依存するという報告もあります。気道の炎症をしっかり抑えて、発作がない状態を続けていくことが喘息のお子さんの未来を明るいものにするでしょう。
アレルギー性鼻炎・結膜炎は、喘息やアトピー性皮膚炎などに合併することの多い疾患です。主な原因は、ダニ、ハウスダスト、花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ハンノキなど)、ペット類(ネコやイヌの抜け毛やフケ)などです。
花粉症とも呼ばれており、近年は発症が低年齢化しています。保育園などに通いはじめて間もないお子さんの鼻水は、ほとんどが風邪によるものですが、ある程度集団生活を経験した後でも透明な鼻水が止まらない、鼻がつまる、鼻血をよく出す、くしゃみが多いなどの症状があればアレルギー性鼻炎が疑われ、適切な対応が望まれます。
丁寧な問診のうえ、必要に応じ血液検査などを施行します。
血液検査
特定のアレルゲン(花粉やダニなど)に感作※して反応するものを「特異的IgE抗体」といいます。血液検査では、この「IgE抗体」の総量と、何に反応するかどうかの「特異的IgE抗体」を調べます。
※感作:アレルゲンに対して免疫が働き、アレルギー反応を起こす体質になってしまうこと
治療は、アレルゲンの除去・回避、薬物療法の2本立てです。
治療薬には抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)やロイコトリエン受容体拮抗薬など鼻汁、鼻閉、目のかゆみを抑えてくれるものがあり、こどもから大人まで服用することができます。
症状がひどい時には点鼻薬や点眼薬などもあります。これらを組み合わせて使用することで症状が楽になります。原因がアレルゲンがダニやスギ花粉の場合には舌下免疫療法も考慮します。
2024年6月にスパイロメーターを導入し呼吸機能検査ができるようになりました。気管支喘息や慢性肺疾患をはじめとする、呼吸器の病気が疑われるときや、その治療状態を客観的にみることができる検査です。息を吸ったり吐いたりして息を吸う力、吐く力、酸素を取り込む能力などを調べます。
当院では主に6歳以上の気管支喘息の定期診察に使用します。